実家の空き家を放置すると固定資産税が高くなる!管理不全空き家とは?

実家の空き家、大丈夫ですか?
気になっているけど、忙しいし、どうしたらいいか分からないから放置している方が多いのではないでしょうか。

この記事は、下のような不安を抱えている方に向けた記事になっています。

「どのくらいの期間、空き家を放置すると、まずいのかな?」

「管理不全空き家に指定されたら、どうなるの?」

「空き家を放置すると、固定資産税が6倍になるって本当?」

この記事は、国土交通省の管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)を参考に、管理不全空き家に指定されてから、固定資産税が高くなるまでの流れを詳しく解説します。

管理不全空き家を放置するとどうなる?

まず空き家の種類について押さえておきましょう。
空き家には「管理された空き家」と「管理不全空き家」、「特定空き家」の3種類があります。

空き家の管理を怠ると管理不全空き家になり、さらに放置を続けて近所に迷惑をかけたり、倒壊の危険が出てくると特定空き家に指定されます。

「管理不全空き家」とは?

管理不全空き家は、危険で迷惑な「特定空き家」になる恐れがある空き家のことです。
1年以上誰も住んでいなくて、家の管理が不十分な状態の空き家です。

もし実家の空き家が下のような状態ならば、市町村などから管理不全空き家に指定されるかもしれませんので、注意してください。

  • 外壁のタイルが剥離している
  • 窓が割れている
  • バルコニーの木が腐って壊れている
  • 庭に常に水たまりがあり、山積みしたゴミがある
  • ハエや蚊が発生しており、動物が棲みついている

「管理不全空き家」への指定から勧告までの流れ

自治体が管理不全空家等の所有者に対して指導や勧告を行ったけれども改善がなく、さらに状態が悪化した場合に特定空家に指定されます。
特定空き家に指定されると、罰金が科されたり、強制的に解体されたりします。
特定空き家に指定される前に、空き家の適切な管理を行うことが重要です。

自治体の調査・指定
自治体は、空き家の外観を目で見て、建築物や生えている樹木の状態から、管理の状況を把握します。
特定空き家の場合は、敷地内や室内への立入検査や、聞き取り調査を行うことがありますが、管理不全空き家の場合は、そのようなことを行うことは特別な場合です。
行政からの助言・指導
自治体などの行政は、管理不全空家が倒壊の危険がある特定空き家になることを防ぐために、対策をとるように指導します。
指導は口頭でも構いませんが、改善しなかった場合は書面で指導の内容を分りやすく示すこととされています。

(指導項目)
・どの家が管理不全空き家の指導対象となっているのか?
・管理不全空き家が、今どのような状態になっているのか?
・そのまま放置したら、周囲の生活にどのような悪い影響がでるのか?

例えば、日常的に空き家に雨水が入ってきているので、防腐処理等を行うように指導するケースなどが考えられます。
行政からの勧告
そのまま放置すれば特定空家になる恐れが大きい場合は、行政は改善すべき具体的な対応を書面で勧告することができます。
勧告された場合は住宅用土地の税優遇から除外され、固定資産税が大幅に上がるため、注意しましょう。
勧告の内容は、「東側部分の屋根ふき材の補修を行うこと」など具体的な内容になっています。

管理不全空家は、周辺の生活環境に与える影響がそれほど大きくないので、特定空き家のような命令や代執行のような強い公権力の行使は行いません。

空き家を所有しているとかかる税金

管理不全空き家に指定され、指導に対する改善を行わず「勧告」を受けた場合は、固定資産税を計算する場合の減税措置がなくなってしまい、固定資産税が上がってしまいます。
空き家を所有していると、固定資産税に加え、地域によっては都市計画税がかかりますが、都市計画税の減税措置も同様になくなってしまいます。

この章では空き家を持っているとかかる、固定資産税と都市計画税について説明し、勧告を受けると固定資産税がどのくらい高くなるのかをシュミレーションします。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物などの固定資産を持っている人に課税される地方税です。
税金の計算方法は以下の通りです。

税金計算方法
固定資産税課税標準×1.4%

しかし、建物が建っている住宅用地は、固定資産税は減額措置があります。
以下のように固定資産税は1/6もしくは、1/3に減額されます。

税金住宅用地の区分計算方法
固定資産税小規模住宅用地(200㎡以下の部分)課税標準×1/6×1.4%
一般住宅用地(200㎡を超える部分)課税標準×1/3×1.4%

行政から勧告を受けると、この1/6もしくは、1/3に減額がなくなってしまいます。

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内の土地や家屋の所有者に毎年課される地方税です。
都市計画事業や土地区画事業の費用に充てることを目的にした税金です。

税金概要計算方法
都市計画税市街化区域内の土地や家屋の所有者に毎年課される地方税課税標準×0.3%

固定資産税と同様に、都市計画税の場合も建物が建っている住宅用地は減額措置があります。
行政から勧告を受けると、この減額がなくなってしまいます。

税金住宅用地の区分計算方法
都市計画税小規模住宅用地(200㎡以下の部分)課税標準×1/3×0.3%
一般住宅用地(200㎡を超える部分)課税標準×2/3×0.3%

勧告されると税金はどのくらい上がるのか?

2,000万円の土地に建物価値が500万円の築30年の住宅があった場合の固定資産税についてシュミレーションします。

管理された空き家
【土地の固定資産税】 土地の評価額2,000万円×1/6×1.4%=4万6,600円
【建物の固定資産税】 建物の課税標準額500万円×1.4%=7万円 
【合計】11万6,600円

管理不全空き家
【土地の固定資産税】土地の評価額2,000万円×1.4%=28万円
【建物の固定資産税】建物の課税標準額500万円×1.4%=7万円
【合計】35万円

以上のように、管理不全空き家は管理された空き家に比べて、約3倍の固定資産税を納税する必要があります。
固定資産税は最大で4.2倍、都市計画税は約2倍になるケースがありますので、気を付けなくてはいけません。

具体的にどのような状態になると管理不全空き家に指定されるのか?

管理不全空き家を放置するリスクを理解できたと思います。
まずは、ご自身の空き家が管理不全空き家に指定されないためにも、どのような状態になったら良くないのか把握することが大切です。
国土交通省のガイドラインに沿って4つの基準を紹介します。

参考:国土交通省|管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施 を図るために必要な指針(ガイドライン)

保安上危険に関して参考となる基準

「建物の倒壊」や「擁壁の崩壊」、「部材等の落下」につながるものを安全を保つうえで危険と判断します。
その基準には、以下のようなものがあります。

  • 屋根の変形又は外装材の剥落若しくは脱落
  • 構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食等
  • 雨水浸入の痕跡
  • 立木の伐採、補強等がなされておらず、腐朽が認められる状態
  • 擁壁のひび割れ等の部材の劣化、水のしみ出し又は変状
  • 擁壁の水抜き穴の清掃等がなされておらず、排水不良が認められる状態
  • 外壁上部の外装材、屋根ふき材若しくは上部に存する手すり材、看板、雨樋、給湯設備、屋上水槽等の破損又はこれらの支持部材の破損、腐食等
  • 軒、バルコニーその他の突出物の支持部分の破損、腐朽等
  • 立木の大枝の剪定、補強がなされておらず、折れ又は腐朽が認められる状態
  • 屋根ふき材、外装材、看板、雨樋等の破損又はこれらの支持部材の破損、腐食等

衛生上有害に関して参考となる基準

衛生面や安全面での問題が深刻化する恐れがある場合が対象です。
その基準には、以下のようなものがあります。

  • 吹付け石綿の周囲の外装材又は石綿使用部材の破損等
  • 排水設備の破損等
  • 清掃等がなされておらず、常態的な水たまりや多量の腐敗したごみ等が敷地等に認められる状態
  • 駆除等がなされておらず、常態的な動物の棲みつきが敷地等に認められる状態

景観悪化に関して参考となる基準

「管理不全空家等」に該当するかの判断は、景観の悪化が基準となります。
具体的には、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば著しく景観を損ねる恐れがあるものが「管理不全空家等」に該当します。
その基準には、以下のようなものがあります。

  • 補修等がなされておらず、屋根ふき材、外装材、看板等の色褪せ、破損又は汚損が認められる状態
  • 清掃等がなされておらず、散乱し、又は山積したごみ等が敷地等に認められる状態

周辺の生活環境の保全への影響に関して参考となる基準

そのまま放置すれば、周辺の生活環境の保全を図るために不適切である状態を指します。
その基準には、以下のようなものがあります。

  • 排水設備の破損等又は封水切れ 
  • 駆除、清掃等がなされておらず、常態的な動物の棲みつき 又は多量の腐敗したごみ等が敷地等に認められる状態
  • 開口部等の破損等
  • 通常の雪下ろしがなされていないことが認められる状態
  • 雪止めの破損等
  • 立木の枝の剪定等がなされておらず、立木の枝等のはみ出しが認められる状態
  • 駆除等がなされておらず、常態的な動物等の棲みつき等が敷地等に認められる状態
  • 駆除等がなされておらず、常態的な動物等の棲みつきが敷地等に認められる状態

まとめ

すぐに管理不全空家に指定されるわけではありません。
管理不全空家は、所有者による管理の状況だけではなく、空家の状態や周辺の生活環境に及ぼす影響を踏まえて判断します。

少なくとも月一回は訪問し、建物や庭に異常がないかの確認やポスト清掃、不法投棄があれば回収するなどの作業が必要となります。
しかし、ご自身で管理作業を行うのは、時間や体力の大きな負担になります。
ご自身で管理作業が難しい場合は、空き家の管理代行サービスなどを活用し、まずは放置しないことが重要です。
管理サービスの提供業者によって作業内容が異なりますので、作業内容をよくご確認いただき、依頼先を検討されることをお勧めいたします。

    PAGE TOP
    タイトルとURLをコピーしました